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PMI REP

2009年3月18日実施
受講レポート 「オープン イノベーション と技術戦略マップ

2009年3月
キヤノンITソリューションズ 久保 勇人


はじめに


セミナーは大きく分けて 2 部構成となっており、
第 1 部はセミナー、第 2 部は質疑応答およびネットワーキングという形でした。

第 1 部では、経済産業省にて技術戦略ロードマップを取りまとめている、
福田さんを講師として招き、経済産業省としての考えや取り組みについての
説明が行われ、第 2 部では、参加者同士の名刺交換会からはじまり、
セミナー内容やそれ以外に関しても活発な質疑応答、意見交換が行われました。

以下は、その要約です。


【第1部】

●問題意識
現状は重量無差別級の異種格闘技、バトルロイヤル状態。
※バトルロイヤルは久保が追加しました。

ここから勝ち残っていくには、次の 2 つの仮説が有力。
・異分野・異業種融合(オープンイノベーション)
 →久保注:ツールとして「知識組み換え」がある
・リソースの選択と集中 × 外部資源の活用(技術戦略)
 →久保注:ツールとして「技術戦略マップ」がある

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●オープンイノベーション
産業界の事例やデータを元に、経産省ではどのような形の
オープンイノベーションを想定しているかを説明。

オープンイノベーションは、「インバウンド連携」から「アウトバウンド連携」へ
・インバウンド連携:互いにないものを保管しあう外部連携
・アウトバウンド連携:資源を出し合い協働して価値を創出

オープンイノベーション例:
・機械工学+電子工学→メカトロニクス
・機械部品加工+半導体技術→MEMS
・ウェットバイオ+IT→バイオインフォマティクス
・光学技術+IT→デジタルスチールカメラ

このように異分野・異業種の技術が融合することで、
・新規技術の創出(笑顔を検出してシャッターを切る)
・新規企業の参入による活性化(家電企業の参入)
・既存市場の拡大、新規市場の創出(デジタルスチールカメラ→写真プリンタ市場(200億))
といったイノベーションがおきることを期待している。

最先端の技術獲得は、もう自社だけではムリ、もしくは出来ても時間が
かかりすぎてしまうため、外部研究資源をうまく活用していかなければならない。

優れたシーズを手に入れるためには、海外を視野にいれなければならないが、
海外研究開発エコシステムに入っていくためには、それなりの努力が必要。
#日本はギブアンドテイクではなくテイクアンドテイクなので、
#他は無料でも日本からは金をとるということらしい。。

研究開発のスピードアップと効率化のためには、
・「正しい答えは顧客に聞く」
・「『開発したものを売る』→『売れるものを開発する』への転換」
スタンスが重要。

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●技術戦略マップ
経産省の考える技術戦略ロードマップは、ITRS(半導体技術ロードマップ)の
ように関連事業者に強制するものではなく、イノベーションをサポートするため
の位置づけ。

大学公的機関、企業研究部門、企業事業部門が、「共通ビジョン」を有しつつ、
各領域の資源を結集することが必要。

2008年は 8 領域、29 分野、2009年は間に合えば 30分野 に増やす。
2009年版 は HP 上に 4 月下旬ごろ掲載し、冊子はその 1 ヶ月後を予定。
HP 上では、PDF と Excel で掲載。

そのままでは使いにくいので、技術戦略マップ検索システムがある(Kamome)。
#Excel のデータを切り貼りして使ってくださいとのこと

技術戦略マップは以下の 3 層構造になっている。
・導入シナリオ
・技術マップ
・技術ロードマップ

民間企業での活用事例としては、自社の現状把握、顧客の市場環境の分析に
使用する例が多い。

新ビジネス創出への活用として I-Plan を、
異分野技術の融合への活用として、T-Plan・C-Plan を、策定し公開。

次の 3 つのロードマップを絡め、ビジョン・目的を共有していくことが重要
・ 3〜 5 年後を想定した企業内ロードマップ
・ 5〜10 年後を想定した技術戦略ロードマップ
・10〜15 年以後を想定したアカデミックロードマップ

アカデミックロードマップとしては、以下の 5 分野を公開
・応用物理分野
・化学分野
・機会分野
・ロボット分野
・学会横断分野
#20 分野ほどの学会に声を掛けたが、アカデミックは特異性や興味にドライブ
#されることが多いので、なじまないという意見が多かったとのこと。
#それでも、作ってみるべき!

経済産業省での技術マップの位置づけは、これに乗っていない研究テーマは、
よほどのことでない限り予算申請されてもゼロ査定。

政策目標ごとに 7 つのイノベーションプログラムがあり、
その下で体系的に推進し、規制改革や標準化等との連携を図り、
各プロジェクトを効果的に推進している。

※NEDO などもうまく使ってくださいとのこと。


【第2部】

ここでは、MPUF 事務局の枷場(はさば)さんと、
経産省の福田さんに技術ロードマップの作り方についてヒントを伺ってきました。

以下、Q&A の形で記述いたします。

Q:技術戦略ロードマップの作り方がわからず戸惑っている
A:・ロードマップの位置づけをはっきりさせること。
 ・経営計画などの全社的なビジョンから落としていくこと。
 ・今まで自分たちが行ってきた事業スタイルの中に、
  強み弱みがあるはずなので、それを認識し、強みを生かす形にすること
 ・顧客のニーズに目を向けること
 ・まずは事業部や事業内容別に立ててみては?
 ・外部の人間を入れ、客観的な意見を得ることもアリ

Q:現状、現場レベルで必要な技術を、必要となった時点で獲得しようと
 しているのだが?
A:・それは、経営のビジョンと現場がうまくつながっていない証拠
 ・その途切れをビジョンからつないでいくことが大事

Q:経営からは数字以外の明確なビジョンが出ていないように見えているのだが?
A:・絶対にあるはず

Q:技術戦略ロードマップの活用方法は?
A:・パートナープログラムがあれば、そこに落とし込むこと

Q:自社がパートナーの場合は?
A:・やはり、顧客のニーズに目を向けること

Q:技術ロードマップ作成全体を通して
A:・まず作ってみること
 ・拙いところがあれば、直していくというスタンスで取り組むこと

Q:MOT をどう考えるか?
A:これからはセールスまで含めた MOT が必要なのでは?
 SMOT


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